関西地方も春の穏やかな季節でございます。 今日は遅ればせながら冬物の衣類を整理整頓し、 部屋の模様替えと大掃除でドタバタしている管理人であります。 「図書館で借りた本は返却期限内にしっかり返そう。」 と誰の頼みもなく勝手に正義づらをしているtakam16。 これは前々回の記事に述べたとおり、 図書館側から延滞者に向けられる返却通知のハガキ代や電話代が しゃれにならない額になっているということを知っての訴えかけ なのでありますが、延滞者の処置・罰則については、現状では 「貸出停止処分」 が精一杯のようであります。 大学図書館などでは、延滞者の掲示板貼りだしという荒技がありますが、 学内利用者にとっては身内での話だからよいものの、学外利用者が 貼り出されてはこっ恥ずかしい限り。 実際は電話による返却要請という形をとるようです。 大学図書館利用の際には学外の方はご注意ください。 さて、図書館をおもう存分利用するならば、図書・CDを借りたり、 AVブースで名作映画を見たりと、その楽しみは増える一方なのですが、 その一方で、次のような話を小耳にはさんだのでご紹介します。 レファレンス・サービス利用経験 30% レファレンス・サービスというのは、簡単に申し上げますと 図書館、主に中央図書館などで貸出し返却カウンターとは別に設けられた 「調査・相談コーナー」 のこと。これを利用したことがある人が30%しかいないのはなんとも もったいないじゃないか!! というのが本日の「お題」であります。 なお、この「お題」と併用する形で、 井上 真琴著 「図書館に訊け!」 の文中の引用を用いながらお話をいたします。 著者曰く、「図書館初級読本」でありますが、最初に以下のようなことを述べています。 図書館の怖いところは、利用者の感心やレベルに応じて、その相貌と機能をかえる ところにある。このため、自分は十分利用できていると自認していても、知らず知らず のうちに稚拙な利用法で終わっていたりする。自分が成長しない限り、相手も変わっては くれないのだ。 つまり、利用者は図書館を最大限活用できていないことを冒頭に著者は述べています。 そのことを前提に本書は利用の仕方、特に大学図書館における利用法について述べ、 主にレファレンスに重点をおいているのですが、それは大学図書館のみならず、 公共図書館においても可能です。公共図書館でもレファレンスの重要性は以前から 言われており、昨今においては「自動貸出機」の設置による功の部分、つまり、人員を 貸出し業務以外の仕事に配置させることができ、その1つが レファレンス・サービスというわけです。 ではレファレンス・サービスを僕が実際に利用した時のことををご紹介します。 例えば以前、浅田次郎著 「蒼穹の昴」を読み、自ブログにおいても感想記事を発信したの ですが、読後感が個人的にすこぶるよろしかったということで、休みを利用して本の返却 ついでにレファレンスを利用しました。 こちらからの注文は以下の3点です。 ① 「蒼穹の昴」を書いたきっかけや著者のインタビュー記事、他人の書評があるか。 ② 「蒼穹の昴」の時代背景を描いた他の作家の作品はあるか。 ③ ①②をふまえた上で比較・検討すると同時に、清国(中国)における文学が どのようなものかを知りたい 3点とも正直言うと非常に困難な注文です。しかし、この3つの質問をする以前に家に インターネットができる環境を持つのであれば事前に調べておくことも大切です。 そのイロハは イ) Webcat Plusで検索する あるキーワードを入力すると、1000万近くの書籍・雑誌・文献の中から紹介して くれる最大級の活字検索機で、国立情報学研究所によるものです。ただし、連想検索の場合、 絞込み検索ができないという難点がありますが、時として「宝物」に遭遇します。 ロ) 国立国会図書館蔵書検索システムで検索する 国会図書館は国内で発行されたあらゆる出版物を所蔵することを法により定めています。 官報や企業の社史なども検索できます。 雑誌記事索引による検索により、おもわぬ発見もあります。 ハ)アマゾン検索機で検索する 最も利用頻度の高い検索機ではないかと思います。ただし、雑誌記事や商業出版物で ないものについては網羅していません。 この3つを調べても目的にたどり着けなかった場合に、最後の切り札「レファレンス・サービス」 の活用です。 最大のポイントは、 質問内容に応じて、最大限応える努力をしてくれる点です。 本の場所を尋ねれば、その場所を知らせてくれます。 トイレの場所を尋ねれば、その場所を教えてくれます。 そして、 先述のの3つの質問をすれば、その3つの質問に応えようと懸命になってくれます。 両者はまさにイコールの関係です。 質問が難題であればあるほど、彼らは「本当の力」を発揮するのです。 ① 「蒼穹の昴」を書いたきっかけや著者のインタビュー記事、他人の書評があるか。 ② 「蒼穹の昴」の時代背景を描いた他の作家の作品はあるか。 ③ ①②をふまえた上で比較・検討すると同時に、清国(中国)における文学が どのようなものかを知りたい 「蒼穹の昴」は1996年に単行本が発売され、2004年に文庫化されました。 当時のインタビュー記事や書評など見つかるのかとたかをくくっていた自分が あさはかでした。 1996年に4つ、2004年に5つもの資料を探し出してくれました。 これにはビックリ。惚れたぜ!! 「蒼穹の昴」の時代背景は清朝末期です。そこには多くの著名な人物を物語に登場 させているのですが、紹介してくれた索引は 「歴史・時代小説 登場人物索引 単行本篇・アンソロジー篇」 登場人物をその索引から調べると、他の作品にたどりつけるという掘り出し物。 これにも驚愕。愛してるぜ!! 最後は清文学についてでした。すると、書庫からボロボロになった索引モノと中国文学 を持ち出し、清文学の代表的作品 「世界文学全集3 紅楼夢」 を読むことを勧めていただきました。 これにはたまらず、 ○○○○がちびったぜ!! これらの業務に費やした時間は50分ぐらいでした。 図書館の奥の深さと、探索能力、一生懸命さに 心の奥で涙したぜ!! これらの情報収集により、改めて「蒼穹の昴」を読んでいます。今度は 著者自身のこの本に対する思いを理解しながらの読書。 マジで楽しいぜ!! ただし、あくまでも図書館内の規模が備わっていなければ、いいレファレンス業務が できないことも確かです。実際、別の小さな図書館ではよい回答は得られませんでした。 図書館員の実力というよりは、蔵書がないと探索にも限界があるということなのでしょう。 だったら、国会図書館やWebcatを使って、他館を紹介ならびに取り寄せしてくれ と心の中で思うのですが、それもこちらから歩みよらなければ図書館員は奥の手を 出してこないあたりは、 質問内容に応じて、最大限応える努力をしてくれる点 はこのことを意味しています。もちろん 井上 真琴著 「図書館に訊け!」でもこれらについては触れています。図書館も借りるだけじゃつまらない。 使えるものはどんどん使おう。 特にレファレンス・サービスはしびれるぜ!! さて、図書館ネタということで、ブログを1つ紹介。 「見習司書の読書日記(たぶん)」 という図書館にお勤めの方のブログ。タイトルは読書日記とありますが、時々 図書館業務の裏話や図書館利用者の目線に降りての図書館講義が妙に親近感を誘います。 図書館の資料分類で使われるNDC(日本十進分類法)の講義はよかった。うん。 どうやら僕と同じ都道府県の某図書館にいるとのことなので、ひょっとしたら 図書館カウンターにおいて知らず知らずのうちに膝をつきあわせていたり、(ないかな) ニアミスの可能性もあるということで、ただいまtakam16は鋭利捜査中ってな わけで、管理人さんはビクビクしているとのこと。 大丈夫! takam16は温厚なのさっ。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 第36回大宅壮一ノンフィクション賞は 稲泉 連 著 「ぼくもいくさに征くのだけれど」 高木 徹著 「大仏破壊」 に決定いたしました。おめでとうございます。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 4月20日に松本清張賞の受賞作品が発表されます。 前回は、山本兼一さんの 「火天の城」でした。この作品は、先ごろの直木賞の 最終候補作にも選ばれました。 |