「取材」という言葉は、マスコミの独占支配的な言葉ではありますが、
実はマスコミのみならず、自分達だって「取材」をしています。
しかも年齢・性別を問わず、「取材」は日常に存在します。

例えば、学生が勉強をするとします。わからない言葉や表現がありました。
学生は理解すべく、辞書や図鑑で調べます。これが「取材」です。
また、OLやサラリーマンがある取引会社について知りたいと思い、
人に聞いたり、登記簿などで調べます。これも「取材」です。
ブログが昨年より急速に普及しました。ブログの書き方はさまざまです。
思いついたことを書く日記があれば、他ブログを訪問することもあります。
これらの行為も「取材」です。前者は書くためのなんらかの経験・思いつき
が「取材」であり、後者は訪問という「取材」です。

ともっともらしいことをダラダラ書きなぐったのですが、この書きなぐりも、
「取材」が生み出したものです。

加藤秀俊著 「取材学」

は昭和50年に刊行された新書です。実はこの本のきっかけは、耳にたこができるほど
言っている
齋藤孝著 「読書力」が紹介してくれたものです。  
実は「読書力」では、「取材学」「高校3年に読め」と表に示しています。

お、遅いよ、アンタ.....


30年近く前の本ですが、本書の世間での評価がすこぶるよく、その後何度も刷られています。
ただし、インターネットが存在しない時代の話です。その辺りは多めに見て.....。

本書においても
「みんなが取材者」
と読者を惹き付けた上で、取材を以下のように定義します。

「個人の問題発見にもとづき、その問題解決のために必要な情報を選び出すこと」


常に疑問を持つことの大切さを強調しています。これを逆説的に言えば、
強調せねばならないほど、みんなが普段できていないことだということです。
そしてその最たる原因を日本の教育に見出しています。それは教師による一方的な教育であり、
まさにみんなが受けてきたあの教育です。

さて、個人的には「必要な情報を選び出すこと」に注目し、情報をゲットするために役立てている
ブログを紹介したいと思います。

同胞のブログかつジャンルで、上位に位置する
「灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし」
であります。昨年12月から始められたのですが、記事の個人的な興味は3つ。

・自分が現在研究中の難解といわれる昭和史関連本の考察
・昭和時代を中心とした一連のミステリー等の批評と他文学等との比較
・万年筆の話とそこから想像できるブロガーの人物像


ここでは2番目のミステリー等の批評に関して触れたいと思います。以前に以下のような質問を
したことがあります。

「星5つの本の紹介を!」

これに対しての記事発信の俊敏さ。お、恐れ入ったよ。
ご本人にはこの場で初めて明かすので、お気を悪くしないで
もらいたいのですが、実は星5つへの注文の裏には、僕は本を点や数で評価することを嫌う傾向があり
ます。そしてせっかくなら面白いという高い評価の作品を紹介していただけることで読書への欲求を
かりたてるという意味も込めての注文でした。もちろん駄作があってこそ良作もあるわけでありますが。

またミステリーも含め、古い本の紹介が多いことに惹かれる最大の理由は、

「車や電化製品と違い、本は新しいからといって良い本とは限らない」

という僕の固定観念があります。なぜなら、今の作家さんも当然昔の作家さんの本を読み、尊敬を
し、話を聞き、現在の地位を築き上げてきたからです。齋藤孝著「読書力」をお勧めにしていますが、
著者だって、自分ですべてを創り出したわけではありません。多くの人に出会い、学び、意見を聞き、
それを加工して、あるいはそれらを参考に新たな創作をし、現在に至るのです。   
そのような理由から、原点を見つけるという意味でかっこうのブログであると言えます。

また、当該ブログの紹介に便乗する形で古い本に関して言えば、
古書、あるいは古本には「真の価値がわかる」という利点があります。
極端な例でいえば、古本屋でしばしば見られるしゃれにならないぐらい高価な値の本がそれです。
果たして、現在年間7万点を超える出版点数の中から、後世に残る本がどれだけあるのか、
それを殺すも生かすも、我々読者次第であることを決して忘れてはいけません。

「必要な情報を選び出すこと」は、情報洪水の今日では極めて困難な作業です。
しかし、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネットにプラスして
ブログの存在は見逃せません。
既存の情報メディアにはない思わぬ出会いをブログは提供してくれます。
そのようなブログ探検は、ある意味においてはブログ発信というアウトプット以上の
効果があるかもしれません。生の声が(通信費こそあれ、)ただで手に入るのです。


今後はそのようなブログ紹介を本の紹介とミックスさせた記事も書いてみようかな。
春のポカポカ陽気とともに頭も体もポカポカ陽気..........

ただし懐はいつまでたってもポカポカしていないのさっ。プンプン。



加藤秀俊著  「取材学」