さて、図書館であります。
この偉大な空間で、これから先、

「二極化」

が始まろうとしています。

この「二極化」、
皆様愛用の図書館において、これからの数十年でいっきに
押し寄せる勢いです。その原因を作りそうなものの1つとして、
最近ちらほらと耳にするようになった

「図書館の本の予約が自宅のインターネットでできる!!」

ことに対する二極化です。その対象は

若者と中高年で、その境界線はパソコンの有無です。

パソコン操作、そしてインターネットの中心は若者です。
よって、インターネット予約ができるのは自ずと若者が中心です。
その予約が図書館に行かずとも自宅でできてしまうのは確かに
便利ではあるけれど、
果たしてパソコンに不慣れな中高年にとって、どれほどのメリット
があるのか、いや、むしろデメリットだらけだと思うのです。

いままでは来館、そして予約カードに書名を記入、それを図書館員
に提出し、彼らからの電話を待つというのが従来型でした。

それが、図書館内の検索画面からの予約が可能になり、
待ちに待ったというか、遂に現状における最終兵器を出してきたか
というのが正しい表現なのかは定かではありませんが、

「図書館の本の予約が自宅のインターネットでできる!!」

までになりました。

じゃあ、例えばパソコンができる管理人はこんなことをしちゃうよ
という風になります。

各出版社のサイトなどで情報を仕入れ、仮に文学賞受賞作品を知った
とします。いや、受賞候補作を知ったとします。候補作が5作品
あったとすれば、その5作品に対して

「インターネットで5作品すべて予約してしまおう!」

と考えます。邪まですが、考えます。
ちなみに我が街の図書館は最高20冊まで予約が可能です。
これからはそのように予約をして、必要がなくなれば予約取り消し
をすればいいとも考えます。
一方、中高年は情報格差が災いし、パソコンユーザーの遅れをとります。
情報をようやく知ったお年寄りはわざわざ図書館に足を運び、
通常の予約手続きをとろうとすると、予約数3ケタなどということが
起きるのです。いままで以上に。
そして3ケタの多くははパソコンユーザーが占めます。

図書の複本問題というものがあります。
1館が同じ図書を何冊も購入する行為です。
どの本を何冊入れるかというのは著者の認知度や本の話題性など
が左右されるそうです。図書の予約数などは将来の図書購入の
重要な参考データになります。しかしながら、上述のごとく

「とりあえず予約」

という利用者の安易な予約乱発は非常に気がかりです。


例えば、ある本を自宅のインターネットを使って探していたところ、
当該本が街の図書館にありました。予約待ちはなさそうです。
すると、他の人に希望の本を借りられないように

「じゃあインターネットで予約をして、取り置きをしてもらおう!」

と考えます。誰でもそう考えます。図書館カウンターの棚は、常に
予約のための取り置きでいっぱいです。
一方のお年寄りは、わざわざ図書館に足を運んだあげく、借りたい本を
インターネットユーザーに占領され、閲覧すらできない状態となります。

いやいや、お年寄りは我々と違い、働いていないのだから、
来館機会に恵まれているじゃないか。
それでも説得力に欠ける。若者は休みの日に来れるじゃないか。
やはり公平ではありません。


パソコンの使い手の上手下手はさほど影響を及ぼさないものの、
パソコンに無知な方と比べた時の圧倒的な彼らの不利をどこで
補うのかは、これから大変注目すべき点です。

予約規制を行うのか、来館者に有利なルールを考えるのか、
予約取り消しになんらかの罰則をつけるのか。

新しい試みをすると、古い方法に慣れた人は、なかなかそれを
受け入れようとはしません。それはどのような世界においても
存在します。歴史を振り返っても同じです。悩みどころです。

自宅のインターネット予約ができる図書館などはまだまだごくわずかです。
しかし、まもなく急激な変化が訪れます。これより市町村の合併などを
経てパワーアップする可能性のある各都市の図書館。最先端の技術を
取り入れた図書館に並ぼうと同じような図書館が生まれます。


情報格差は避けられません。そして
このような情報格差を埋めるためにも、図書館側は積極的に
利用法をレクチャーしなければなりません。

OPACの検索機に不慣れな方は多くいます。
普及の初期段階である自動貸出機などはさっぱりわからないでしょう。
館内でインターネットによる図書の予約方法を理解するのは至難です。

これらを習得したとしても、図書館の利用法は無限大です。
特にレファレンスからは驚くようなおいしい情報を手に入れることも
可能です。
地名からそれにふさわしい小説を紹介してくれたり、
時代背景や登場人物からもおいしい物語にありつけます。
企業や文化の手っ取り早い情報は書籍紹介のみならず、
Webサイトまで紹介してくれます。
図書館司書はそのような情報網をかなり集積しています。

また、著作権にまつわる講義は図書館こそができる業務です。
本と常日頃接している図書館員にとって著作権への理解は必須です。
これらの講義は図書館の多目的室なり、生涯学習センターなりで
提供が可能です。

「図書館利用講義」
「レファレンス講義」
「情報リテラシー講義」
「著作権講義」

受けますよ、僕は。


生活に図書館がなくても我々は生きていけます。
しかし各国の図書館においては、図書館を起点とした生涯学習はもちろん、
図書館がきっかけで新たなビジネスの芽が生まれるなどという例が見られます。
高齢者へのサービスが図書館施設に備わっています。
医療サービスもあります。
図書館での調査・研究を通じて、司書からのビジネス支援を受けたある
利用者が、将来独立、起業し、それを図書館に還元するという形もあります。
専門図書館も数多くあります。


循環型社会はリデュース、リユース、リサイクルなどの環境方面で有名ですが、
知的レベルにおいても循環型社会は可能です。


学生時代の図書館での研究・調査(←レファレンス利用、支援)
  ↓
社会人として自立・活躍
  ↓
起業・独立で資産・名誉を得る
  ↓
図書館に寄贈、寄付、知的レベルの還元、市民講座の講師
  ↓
生徒がノウハウを学ぶ、図書館での調査・研究(←レファレンス利用、支援)



これからの図書館の数十年間は、まさに新たな息吹が誕生する数十年です。



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第18回三島由紀夫賞受賞作品

・「六○○○度の愛」  鹿島田真希さん   (「新潮」2004年2月号収録)


第18回 山本周五郎賞受賞作品2作

・ 「君たちに明日はない」
  垣根涼介さん

・ 「明日の記憶」
  荻原浩さん 


に決定いたしました。おめでとうございます。