☆★☆管理人takam16のバーチャルなお部屋 です。 ☆★☆
  

前回記事 「おい!大仏を破壊するのか」
 
高木 徹著 「大仏破壊」
が大宅壮一ノンフィクション賞に輝いたということで、
すっかり忘れていたアフガニスタンという国の存在を思い出す
きっかけをいただきました。
そういえば、4年前に話題になったあの国だなと。

最近では、米NEWS WEEK誌のコーランをトイレに流したとの
報道を受けてアフガンの各地で起きた暴動騒ぎが数日間
新聞紙面で紹介されましたが、今ではすっかりどこ吹く風。
ああ、これでまたまた遠い記憶の彼方へ行ってしまう......

とは言っても、これだけ情報が飛び交う昨今において、自分に、そして
自分の生活に関わりのない話題を追いかける必要もないでしょう。
しかし興味津々の管理人はちょっくら手を出しました。そして
ちょっくら追いかけてしまいました。しかしながら
1日24時間では足りません。仕事をサボり、睡眠を減らし、TVを見る
時間を縮小しても、自由な時間はいったいどれだけあるのでしょう。

とは言いつつも、時間は作ろうと思えばできるもの。
アフガンに行けないぶん、本屋にすがり、図書館に入りびたり、ブログ散策
を毎日少しずつ行いながら、現状での勉強の経過をご報告というわけで、
そんな今日の「本と本屋と図書館に魅せられて」でございます。


というわけで、もっと肩の力を抜いてアフガンを知る手始めの書として

「1時間でわかるアフガニスタン」


を字義通り1時間でスラスラと頭に入れました。一連の歴史的事件よりは少し前の
アフガンを知ろうと思い読んだ170ページの入門書。しかしながら、著者は決して
アフガンへ行ったことはありません。過去のアフガン関連の著書から得た情報を
集めて読者のために噛み砕いた、本書の発行時期からしても(01年末)まさに
有事にあわせた商業出版と言えるのかもしれません。
アフガンは闘いに明け暮れざるをえない長い年月を費やしましたが、
本書の写真に登場する軍事政権の指導者達の人相のまあ悪そうなこと。
厳しい情勢を生き抜く指導者達とはこうも目つきが悪いのかとちょっぴり
腕組みの管理人でありました。
 
この書は参考図書のある1冊の本を存分に参照にしているなと思わせた、その1冊が

「タリバン―イスラム原理主義の戦士たち」
。

これを2001年の書店員時代の立場から申し上げますと、アフガンフェアには
必要不可欠な1冊。単純にまずはタイトル。「タリバン」という言葉はフェアにとって
あまりにも訴求効果が強い題名。さらには2940円という高いのですが
お値段を度外視した人気ぶり。この入手には足とコネを使いました。はい。
それが今、アマゾンの中古本の価格を見ると110円。とほほ.....

しかし、当時のフェアの対象本というのはあくまでも軍事にまつわる書でした。
有事になると書店は、そして出版界はなんだか賑わいます。
そして、この手の出版がやたらと増えます。
皮肉にも、当時の売上が妙に良かったことを今さらながらに思い出しました。

これらの出版本、あるいは雑誌記事というのは、マクロにアフガンを捉えがちであり、
もっと身近に、生活臭漂う内容のほうがもっと初心者にはいいのになと愚痴をこぼして
いた時に図書館で出会った雑誌が

「Fole(フォーレ)」。
みずほ総合研究所の会報誌ですのでそう易々と
個人が入手するのはちょっぴりやっかい。そこで図書館の有効利用なのですが、
「バカの壁」で出版界では引っ張りだこの養老孟司氏の対談記事

「対談 養老孟司のニッポンを解剖する」

という当該雑誌4月号の対談相手は中村哲氏
この医師の存在をコロッと忘れていた管理人。
アフガニスタンの国民のために日本との往復を繰り返す中村氏は
政治や外交といった大きなことしか報道しないマスコミに対し、
対談でバッサリ斬ってくれます。

「最も深刻なのは、かんばつだ!」と。それを伝えろと。

温暖化により、冬でも寒くないなぁと平和な愚痴を漏らす日本等とは対照的に、
アフガンはただいま危機的状況であると中村氏は訴えます。

地図を見てもわかるように、5000メートル級の山々がそびえるこの内陸国。
冬の山々の雪解け水がこの国の生活には欠かせないにもかかわらず、この山が、
温暖化の影響で雪が減少しているというのです。
アフガンは農業国。中東のように天然資源がなければ、日本のようにモノを
作る技術も乏しい。首都を中心にアメリカ等の民間会社が建設・土木工事の
ために彼らを雇っているのですが、なんだかその場しのぎのご様子。
頼れるのはやはり農業。そのための水が不足しているというわけで、大変な
状態になっており、難民が増えた理由はそれだと氏は言います。
タリバン政権と戦争による産物ではないと。

氏は医師としてだけではなく、アフガンの生活を救うためにさまざまな
努力をしています。井戸を掘って飲み水を確保し、かんがいによる水のために
今、川を造っているというのは知る人ぞ知るお話。管理人は井戸については
存じ上げていましたが、川造りは初耳でしたのでほほーっと感心いたしました。

農業、そして水不足のアフガンでつながる話は
「ケシ栽培」です。これは麻薬の源です。
国内の農業すべてがケシを作っているではないのですが、これを栽培すると
なにかとおいしいことがあると。
これをそのまま、あるいは精製しヘロインとして国外に売ったそのお金が収入源と
なっていたのがかつてのアフガンでした。
このケシ栽培、実はタリバン政権時代は一時禁止となり、生産量を極端に
減らしていたのですが、タリバン政権が倒れると再びさかんとなります。

アフガンは、さまざまな民族が生きる国で、多い順に
パシュトゥン人、タジク人、ハザラ人、ウズベク人です。ちなみにタリバンは
パシュトゥン人でした。
アフガンではソ連が撤退してから、タリバンが政権を握るまでの間、民族同士による
内戦が行われているのですが、各々の民族には裏で隣国が糸を引いていました。

パシュトゥン人 ← パキスタン
タジク人    ← タジキスタン
ハザラ人    ← イラン
ウズベク人   ← ウズベキスタン

ついでに宗教的には、ハザラ人はイスラム教シーア派です。あとは皆、スンニ派です。
内戦はこれらの民族、宗教、隣国の利害が絡み合ったやっかいなものだった
そうです。タリバン政権まではタジク人が指導者として一応君臨し、それを不満に
思う各々との小競り合いの日々でしたが、首都カブールの南西、カンダハールの地
より生まれたタリバン(パシュトゥン人)が政権を握り、その後アメリカによる
政権打破により、諸外国を交え、そして民族同士で話し合った結果、
パシュトゥン人のカルザイ大統領が誕生。副大統領にはタジク人のファヒム氏が
選ばれたのですが、このファヒム氏がどうやら曲者だったらしく、
自らが率いる国内最大の軍閥(軍人の党派)を動かし、麻薬取引を復活させたらしく、一方の
カルザイ大統領は、「麻薬取引はやめよう!」という姿勢。
軍閥は、ヤミで麻薬取引をしながら自分達の資金をしっかりと確保しながら時は
進んでいきます。


つづく.........


セブンアンドワイ「文芸」  beauty_234_60