☆★☆管理人takam16のバーチャルなお部屋 です。 ☆★☆
午前2時35分。

物音ひとつ出さずにいかにして目的地にたどり着けるかの
まさに真夜中の周囲とのかけひき。

1週間も放っておいたので重い。そして臭い。
こういう時にエレベータを使うのは非常に危険である。
誰かに見られちまうわけにはいかない。
瞬時の判断がその後の運命を良くも悪くも左右する。
心拍数も急激に多くなっているだろう。


階段を利用したのはよいアイデアだった。
案の定、誰にも邪魔されることなく忍び足で1階まで
降りてきた。
目的地まではあと20m。

「いまがチャンスや!!」

この勘が重要だ。バレずにここまでやって来た。
あとは、あとはこの黒いゴミ袋を捨てればtakam16
の目的は達成される。もうすぐだ。

スタスタスタスタッ。

この20mは早足かつ忍び足がポイントだ。

このマンションもゴミに関しては多分に漏れず厳しい。

「ゴミは朝捨てましょう !!」

とはゴミ捨て場の看板文句だが、管理組合のホンネは

「夜捨てたらシバくぞ!!」

の意味と置き換えて相違ない。
だからこの時間にゴミを捨てるのは緊張するのである。

いつも朝5時に起床するのが習慣づいている話は以前にも
した。ではなぜこんな中途半端な時間に....?

午前2時35分は、ちょうどワールドカップ予選TV観戦
のハーフタイム中なのである。
試合を見てから眠りにつき、昼までぐっすり休もうと目論ん
だのだが、その前に
たまった生ゴミを捨てなければ、お話にならない。
バナナの皮は1週間も放置するわけにはいかない。
グレープフルーツの食べかすも、そろそろ異臭を放つころだ。
水曜日にゴミを捨てれば良かったが、面倒くさくなり
この日に先送りした。
このハーフタイムの15分間は選手達はもちろんだが、
takam16にとっても貴重な時間なのである。



両手のゴミ袋がやけに重かったぶん、捨てたときの快感は
なんだかこみ上げてくるものがある。もちろん手は臭い。

ひと仕事を終えたtakam16。あとはまもなく始まる後半
に間に合うように帰ればよい。
捨て終えて踵を返すや


人→                           ゴミ
        ←takam16      ゴミ   
人→


あ~、ニアミスだ、というよりは、完全なミスだった。
夜中のゴミ捨ての取り締まりの存在に運がなかったとうなだれようと
思ったのだが、相手の2人の両手もなんだか余裕がない。
そして、相手もバツが悪そうだ。なるほど。

「君達もゴミを捨てにきたのだな、ふふふ。」

と、このマンションの住人の考えることは自分と同じであることに
妙な親近感を抱いたtakam16の心のつぶやきである。

「しかも面は隠したいのだな。」

と感じた理由は、2人はともに女性。そしてパジャマ姿。
よって、スッピンである。
こちらも十分スッピンであるが、性別の関係上、それにはこだわらない。

「急がないと後半が始まってしまうぞ。」

とこれまた心の中でアドバイスを送ったtakam16。
快感はまさに頂点である。

試合が終わるのは3時半頃だろう。それから
昼まで寝て、その後は大学図書館で本を借りに行くことをすでに
予定していたtakam16。


目覚めたら、夕方5時だった ..........

ゴミは真面目に捨てましょう。


著者: 左巻 健男, 金谷 健
タイトル: ごみ問題100の知識
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