takam16の本の棚
です。バーチャルですが......


 リピーターという言葉がある。
どんな商売でも新規顧客はもちろんだが、リピーター、つまりは
何度もお店に来店してくれる固定客をしっかりと確保しておくことは
極めて重要だ。
スーパーや美容院・理髪店、メガネ屋、本屋.....
彼らは固定客を失った時がそのお店の終焉だ。
本屋を例にとると、
本屋の問題は新規顧客獲得の困難さ以上に、いままで足を運んでくれた
リピーターの著しい減少である。しかしながら
あてにならない読書世論調査ではあるが、読書人口は決して減っているわけではない。
その理由は本の入手経路の多様化によるところが大きい。

それらはネット、電子本、古本、マンガ喫茶、レンタル本の普及であり、
特に電子本がここにきて急速な伸びを示している。
ネットや電子本などについては個人情報を相手に知らせ、業者が管理しやすく、
その結果、顧客の囲い込みに成功しているためにリピーター率は比較的高いだろう。

しかし、読書という枠組みで最もリピーター率の高くかつ、利用期間の長いものといえば
それは図書館以外には考えられない。

図書館は「お客様」ではなく、「利用者」だ。だからリピーターという言い方が適している
とは限らないが、とにもかくにも無料で一定冊数借りることができるのだ。
例えば図書館を訪れて2週間の期限で「満冊」借りたとしよう。
2週間後、図書を返却に訪れてそのままウチに帰ればいいものを
新旧入り乱れてのインクのニオイがこちらの鼻孔をピクピクさせやがる。
本の大きさにとらわれない背表紙置きはこちらの視線を釘付けにさせやがる。
インクに誘われてなぜか足が勝手に動きやがる。
そして手に雀の涙ほどの汗をかきながらも、ちゃっかり貸出しカウンターに並んでやがる。
図書館にしかできないその吸引力にtakam16、すっかりメロメロだ。
おかげさまで図書館で借りた本が自宅の本棚から姿をなくすことはない。
ず~っと返却と借り出しは繰り返されてて数年が経つ。
自分の貸し出し情報は毎年の図書館の貸し出し冊数の記録に納められる。もちろん
何十万という貸し出しの中の1人としてだ。
しかし図書館のリピーターとはそういうものなのだ。
無料の魅力はもちろんだが、図書館が放つ光は金銭的魅力以外にも十分ある。

ところでtakam16の図書館利用にはある特徴を持っている。
それは朝の開館から閉館1時間前まで居座ることだ。
月に6~8日ある休みのうちの最低2日はこの過ごし方である。

すると、毎日通う方には負けるがそれでもtakam16は立派なリピーターじゃないか、
常連じゃないかと自負するわけだ。
その一方で当然図書館員の顔ぶれもお馴染みなために、

「よく来る人ねぇ。」

などと思われているのではないかと考えるのだ。
こう見えて意外とそのようなつまらないことが気になるタイプの人間である。
そこで、図書館で長居しやすい方法を練りたくなるのが今日のお話だ。

そのような周囲の視線を消し去るには3つの方法があった。

まず試したこと、
それは特定の図書館司書と挨拶をかわす仲になっておくという手口。

相談コーナーに腰を据えるのは図書館員の中でも司書の資格を持ちかつ、ベテラン
である場合が非常に多い。つまりは図書館職員内での存在度は高いはずだ。
相談コーナーは時間交代制だ。質問はあらかじめこちらで用意しておく。
実際、質問事項は山積みだ。
例えばブログの記事である本の記事を書くときに、当該書籍の背景を探るべく、
著者のインタビュー記事を探してもらう場合、司書を利用することにしている。
もちろん相談内容の目的は告げたりしない。
ブログ以外でもビジネス情報や歴史調査などでは司書を利用する。
ただし、司書は同じ方に質問することが肝心だ。
司書は質問の深さに比例するだけの働きをする傾向がある。
つまらない質問をすればそれ相応の応答しか期待できない。
質問が深く困難であればそれだけ懸命に探してくれる。司書の腕の見せ所だからだ。
すると相談で対面する時間が長くなってくる。
そこでいろいろな小話を挟みながら図書館業務の裏側や新しいネタを探ろうというのも
実は真の狙いであったりもする。
例えば新刊蔵書の納入情報をボソっと話してくれたり、
こちらの入荷して欲しい蔵書のリクエストに応えてくれたり
といった厚かましさを発揮するには特定の司書に質問し続けることで
できるひとつの特権だ。
本当なら誰が聞いても教えてくれるだろうが、貸し借りカウンターとの付き合いしか
なければそのような要望を積極的に出せるには遠慮が生まれてしまう。


さて、次のターゲットは図書館内の警備員だ。
実は狙って挨拶のできる警備員をつくったわけではなく、
ある日図書館の座席で居眠りをしてしまった。
すると、肩をゆする感覚にふと目覚めたtakam16の側で

「兄ちゃん、体の調子でも悪いんか?」

どうやら2時間は眠り込んでいたらしい。寝顔があまりにもひどかったのか、それとも
死んでいるとでも思ったのかは定かではないが、そのようなことがきっかけで
お話のできる警備員を図書館内に見つけることができたというわけだ。
いまでは挨拶を交わす仲だ。
館内の治安を守る人間によい意味で認知されるのは案外気分のいいものだ。
多少こちらが怪しいいでたちでも見逃してくれる。
決してしないが、もしも奇声を発したとしても大目に見てくれるだろう。
たいへんありがたいことである。

最後の3つめ。これはあきらかな確信犯的行動なのだが、
図書館の隣に喫茶店がOPENした。ちなみにそこは生涯学習センター内の一角なのだが、
その喫茶店をズバリ、実質的な読書喫茶としての場として使用したいというのが
こちらの考えだ。そして何時間もその場を読書の場として気兼ねなく居座るという
なんとも厚かましい手口だ。

そのためには少し忙しさの峠を越えた午後2時前後に訪れ、カレーライス&飲み物を
注文することであった。もちろん座席はカウンター。正面には従業員が漏れなくいるし、
そこは全国展開するような店舗ではない、個人のお店であることでチャンスは膨らんだ。
他愛のない話から入る。喫茶店の特に個人店の従業員はお客との世間話は嫌がらない。
おまけにお客という立場上優位に話を展開できる。
同じ時間、同じ座席、同じ注文、そして同じ従業員に1ヶ月で3度接した。
また滞在時間は徐々に増やしていった。
4度目のある日、カレーライスのご飯を大盛りにしてもらった。店側からのサービスである。
そして、ずっと接していた従業員は店のオーナー店長だということを知った。
これで読書喫茶のできあがりだ。
おかげさまで図書館を訪れて本を適当に選ぶとすぐさま喫茶店に駆け込み、
読書をさせてもらっている。コーヒーの一杯ぐらい当然注文するが、
公共施設の喫茶店は駅ビルなどの喫茶店の3分の2程度の料金でいただける。
また、図書館は無料がために利用するのが根底にあるため、
利用者はお金を払ってまで喫茶店に入ろうとは思わない。
従って喫茶店は昼を除いて常に空いている。

しかしながら当然喫茶店だ。誰もいないわけではなく、常連さんは他にもいる。
そして常連さんの多くはカウンターに座る。
訪れるたびにカウンターに座る常連さんが同じ顔なら会話のチャンスだ。
そして、その常連さんが実は図書館内の利用者の見えないポジションで仕事をする偉い人物
だとわかったとき、図書館のあらゆるしくみを知る絶好の機会を得たということになる。

図書館通いで人脈づくり。
どうやら2006年は通うのがますます楽しみになってきたようだ。


が、ちょっと待てと冷静になってみた。
こちらにとって都合が良いものでも相手にとってはどうなのかといういらぬ心配だ。
司書を1人に絞り込むようなことを言ったが、
司書の立場からしてみれば、なんで?ワタシって狙われてるの?
と悩んでいたりはしないだろうか....
確かに司書は美形だ。もしも司書が男だったらtakam16はどう扱っていたか
という問題だ。う~む。

知り合いの警備員とこちらは思っていても、
相手としては、実は最重要人物のリストの片隅に入ってやしないか?

喫茶店での居座りは相手はずっといてくれていいよと軽い調子で言ってくれるが、
実は知らぬうちに客寄せパンダとして利用されている恐れあり!?


といろいろ思案しながらたるみきった頬をなんとか引き締めなければと
鏡を見ながら腕組みをしている今日の管理人でございました。


追記) ただいま多忙のため、コメント返しの時間が取れません。
   後日お返ししますのでしばしお待ちくだされ。